「若さは若者に与えるにはも ったいない」

川邉 実沙紀

One Young World Summit(以下、OYW と記す)を終え、一言で自分の思いを表すと、人 生の中でかなり大きな重要性をもつ、かけがえのない経験を得たということである。こんな 言葉は参加者みな口を揃えて言いそうな一言だが、それが今の私にとって一番適当だと思 う。楽しかった、充実していた、単純にそういう言葉では語れない、もっと尊いものにふれ た。私は交換留学の際、アメリカの大学でたくさんの人種の人々とふれあったつもりだった が、OYW はそれとは比にならない規模の非日常的な場だった。ただ、もう一つ、その言葉 に加えて重要なのは、今回の経験が生きるかどうかが私の今後の生き方にかかっていると いうことだ。

アイルランド出身の劇作家、バーナード・ショーの言葉に、「若さは若者に与えるにはも ったいない」というのがある。残念ながら、私自身も含め、今の日本の若者にもこの言葉を 否定できない部分があるだろう。科学技術や経済の発展に伴い、生活水準が向上し、私たち の生活は以前よりもまして豊かになった。その結果、心が貧しくなったと世間ではよく指摘 されるが、現代社会では多くの無駄が省かれ、日常生活の中で不便、不自由などの問題を感 じづらくなった。しかし、私たちが生活している環境、この比較的安全で恵まれた生活が世 界基準ではないということも肝に銘じなければならない。世界には今なお、様々な問題が絶 え間無く起こっている。力を持て余すのではなく、若さというパワーが今の私たちにとって 大きな特権であることをもっと認識し、それを Action に変える勇気を持たなくてはならな いと思った。

先日、市川君が率先して翻訳してくれた、Yeonmi Park さんのスピーチ。これに関して は、私も OYW 開催中にその必要性を感じていたが、私は実際、彼のようにすぐ動くことが できなかった。実際、そのような行動力がもたらす今後の差は大きいだろう。良い idea が あるのなら単に腹の中で温めておくのではなく、信念や熱い想いに基づいた Action こそ必 要だ。

私は、OYW 初日の Opening Ceremony で知り合った友人を通じて、ガーナ人の方と知 り合い、女子教育のために Action を起こしてほしいと声をかけてもらった。お互い実際の 面識はないが、彼はその共通の友人と以前に別の Conference に参加した Ambassador だっ た。今回は諸事情で参加できず、先進国で生きる私に意見を聞きたいとメッセージをくれた。 その彼の自国に対する想いや「女性は豊かな国にするための宝である」という考えに、私も できる限りのことをしたいと思った。その後、この業界に詳しい友人に呼びかけたところ、 意外にも多くの友人が賛同してくれた。ある友人が、「国際協力の分野では同情を誘って募 金をつのるケースが多い。実際に、発展途上国で暮らす人はみなが可哀そうなわけではない。 大切な友達として助けることが大切」という言葉をくれた。今回、日本代表団からは専門的に国際開発の現場で活躍されている方が多かったようだが、素人である私にも「友達」とし ての視点を大切にしながらできる活動は、小さいながらもあると思う。まだ発展途上ではあ るが、私にできることを考えながら、計画していることを仲間とともに進めていきたい。

今回の OYW で感じたもう一つ、リーダーとして、またグループで何かを実行するとき、 重要なことは理想主義と現実主義のバランスだ。もちろん物事を遂行する上で数値などの データや論理的な思考に基づいた現実的な見方も大切だが、それと共に(リーダー間やグル ープ内部で)仲間同士の団結力や目標に対する理想や情熱をもつことも必要だ。それら両方 が合わさって目標や目的達成に近づくことができる。そういった面の強化において、OYW のように従来とは異なる、形式ばらない World Conference は、重要な意味をもつだろう。

私は大学を卒業し、四月からは MICE 関連の会社に入社予定だ。MICE というのは、 M(Meeting)、I(Incentives)、C(Conference&Conventions)、 E(Events&Exhibitions)の略 称で近年、大きな経済効果が期待され、日本政府が推進する観光事業の一つである。私は、 主に日本企業と海外企業をマッチングため、展示会や国際会議などの行事、事業の企画や管 理業務にあたる予定である。この会社は海外に事務所がいくつかあり、内定者や従業員の中 にも数十名の外国人がおり、インターナショナルな職場である。近年、SNS が流行し、イ ンターネットやメディアなど何か物を介して情報共有をすることが多くなったが、どれだ け技術が発達しても人と人とが直接出会ってコミュニケーションする必要性、重要性はな くならないだろう。実際、今回の OYW も MICE 事業に関連があり、日本のそういった MICE 事業(インバウンドを含めた観光事業、全体的に)まだまだ伸びしろのある分野なの で、今回の経験をぜひ生かしていけるように努めたい。

正直、今の段階で数年後、数十年後、私が同じ仕事をしているのか、もしくは他に何をや っているのか分からない。しかし、この OYW の舞台の上で熱く語ったり、一緒に食事をし たときに熱心な眼差しで訴えかけていた他の Delegate たちのように、時が経っても使命感 をもって自分のやるべきことを一つ一つやりとげていける人間で私もいたい。

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